レンヌで芝居を  Droles de dedales | サスライノヒビ

レンヌで芝居を  Droles de dedales


レンヌに来たその日。
ホテルを探すために
ツーリストインフォメーションに立ち寄ったのだけど
なんとなく気になるポスターがはってあった。

2人の道化(クラウン)の写真がデザインされている。

しばらく目が離せなかったのだけど
よく見たら
日程が12日からだった。

「明後日だ」
見れる。

ということで早速チケットをゲットした。

私の演劇のルーツはフランスにある。

と言ってもそんな大層なことではない。
大学時代に演劇を専攻していた時の
演出家がフランスの演劇学校出身で
私たちが習った演劇も
そこの学校のシステムを取り入れている。
それだけの話だ。

けれど、私が
大道芸パフォーマンスの魅力に取り付かれたのは
はじめてフランスを訪れた時に見た
大道芸がきっかけだし、
この土地でいくつか
演劇やらをみれたら、と思っていた。

今回の旅
というか
アメリカの留学からずっと
私がこだわっていることは
「出会い」「食」「エンターテインメント」だ。

今の私はこれがある限り
生きていける。
みすぼらしいものを着ているけど
これに関しては
お金は使おう、と
決めている。

今回もなんとなく気になって
チケットを取ったけど
結構楽しみにしていた。

道化というのは
人を笑わせたり
冗談を言ったりするのだけど
いつでもとっても素直だ。
自分の感情に嘘はつかない。

シェイクスピアの喜劇には必ずこの道化が出てくる。

今回の2人の道化。

一人は黒いスーツに身をまとい
もう一人は飛行機乗りの格好をしている。
紅の豚のようだ。

彼らは満月の夜に出会う。

そして、お互い
空飛ぶことを夢見ていることを知る。

羽を靴や肩につけて
飛ぶまねごとをしたりして
遊んでいるのだけど
飛べないなぁ、と思い悩む。

けれど
ある日、
飛行機の作り方の書いてある紙をゲットする。

それは身近にある
樽などで作れるものだ。

飛べるかもしれない。

ワクワクしながら
材料を集め
ドキドキしながら
飛行機を完成させる。

飛べるかもしれない。

二人で樽でできた
飛行機に乗り込み
いざ出発。

飛べるんだ。
空高く高く。

そして彼らは空を知る。

飛んでいるんだ。
今。

でも、誰もが知っているように
そんなものじゃ飛べない。

彼らを乗せた飛行機は墜落してしまう。

やっぱり飛べない。

最後の結末は予想がついたのだけど
それでも
飛ばせてあげたい、
飛び続けてほしい、
と会場中が望んでいた。

哀しい最後。

でも、きっと彼らは幸せだったんじゃないだろうか。

私も飛びたいよ。
空高く。
高く。
ね。