おばあちゃん | サスライノヒビ

おばあちゃん

どこの国にいても

私の場合は

おばあちゃんが

助けてくれた。


みんな英語はしゃべれない。


でも

たいがい

新しい街についたとき。


地図と

スーツケースを持って

うろうろする私に

声をかけてくれたのは

おばあちゃん。


手をひいて

一緒に街を歩いて

バス停で

一緒にバスを待ってくれたり。


いつまでも

手を振って見送ってくれたり。


地下鉄の乗り方を教えてくれたり。


その土地の

「ありがとう」を

教えてくれたり。


いつでも

その笑顔は

やわらかくて

しわしわで

くしゃくしゃだった。


でも

素敵だった。


私の本当のおばあちゃんは

もうすでになくなった。


震災後。

おばあちゃんの家は全壊で。

一緒に住んでいたとき。


フランスに行くためにアルバイトをする、

といった私に


おばあちゃんはフランスの男が嫌いだから

そんなの許さない。


と言った。


中国にしなさい。

とも。


でも、としちゃんが

どーうしてもっていうなら

一緒に行ってあげてもいいよ。


何があったんだ?おばあちゃん?

フランスの男はうそつきだ、と言っていた。


とってもこにくたらしいおばあちゃんで

いつもむかついていたけど

今思えば

チャーミングなばあちゃんだった。


いろんな国で

おばあちゃんに助けられるたび

私は

自分のおばあちゃんを思った。


今でもフランスの男は嫌いなんだろうか。